興信所の「採用調査」とは

就職活動中、いよいよ内定がもらえそう!
そんな時に「採用調査をさせてください」という申し出があるかもしれません。
採用調査は名前の通り、採用者を対象にした調査です。しかし、素人にとっては浮気調査や人探しと比べると内容がなかなか想像しにくい調査でもあります。
興信所はどのようなことを調べ、報告するのでしょうか?調べられる側の人は、なにかすることはあるのでしょうか?
今回は採用調査について詳しくお伝えしていましょう。
採用調査って何?
採用調査では、企業からの依頼を受けて興信所が採用予定者について詳しく調べます。
前の職場での勤務態度や退職理由をメインに、本当にその職場に在籍していたのかどうかなどもちゃんと調べます。その他、学歴や住所が本物かどうかも調査の対象になります。
それ以外にも、ネガティブな情報があれば調査報告書に書き加えられることでしょう。
遅刻癖がある・サボりグセがあるといった生活態度について報告することもありますし、転職前に大きな失敗をしていたら、そのこともきちんと漏らさず報告します。前職中に暴力事件を起こしたり、横領事件で取り調べを受けていた場合も同様です。
応募者も「こんな資格を持っている」「前職で大きな功績をあげた」などポジティブな情報についてはしっかり報告しますが、ネガティブな情報に関してはできるだけ隠そうとします。
本人の口から語られていたら話は別かもしれませんが、採用担当者の耳に入らないように工作していたなど、より悪質な印象がある場合には、採用を予定していた企業も採用を出すかどうか考え直すかもしれません。
「経歴詐称をしていても、周囲に口止めをしておいたから大丈夫」なんて思わないほうがいいでしょう。興信所の採用調査は聞き込みまで行うことがあります。意外な人から経歴詐称がバレてしまうかもしれません。
悪気はなくとも、聞き込みをされると人はいろいろと話してしまうもの。有名大学出身だと詐称していても、知人や友人から「大学は卒業していないはず」と言われてしまったらおしまいです。
また、「金融業界に入りたいと考えているのに借金がある、ギャンブル癖で周囲に迷惑をかけたことがある」「法律関係の仕事を希望しているが逮捕歴がある」というのも問題視されるでしょう。
採用調査は違法?
採用調査について、違法ではないかと考える人も多いようですね。
たしかに採用が確定していない会社から、前職での態度や今までやってきたこと、さらには学歴などを調べられると、後ろめたいことがなかったとしても嫌な気持ちになるかもしれません。
ですが、採用調査は違法ではありません。そもそも興信所が請け負っている調査には違法なものはありません。違法なやり方で行われた調査ではない限り、採用調査自体は行ったとしても罪にはなりません。
採用調査はいつ行われる?

それでは、採用調査はいつ、どのタイミングで行われるのでしょうか?
実はそのタイミングは企業によってバラつきがありますが、内定が出る前には必ず行われます。つまり、内定が出た後に採用調査が行われることはほぼありません。
これはなぜでしょうか。実は、内定が出てしまうと後から取り消すことは困難になります。たとえ「経歴詐称していた」「前職で大きなミスをしていた」のが発覚したとしても、です。そのため、内定を出す前に採用調査を行い、問題がある人物をふるい落とします。
ただし、調査する人数が多ければ多いほど費用がかかりますから、ある程度採用したい人物が絞り込まれてから調査を行う流れがほとんどです。
なお、採用調査は新入社員を対象にしたものとして考えられがちですが、そんなことはありません。中途採用者や役員を対象にも行われます。調査方法や調べるタイミングなどは変わりませんし、調べられる内容も同じです。
過去の素行や人柄、勤務態度はもちろん、こちらも経歴詐称がないかどうかを詳しく調べます。
採用調査で内定取り消しになることはある?
実際のところ、採用調査で内定取り消しになった話はあまり聞きません。理由は簡単で、経歴詐称をして入社しようとする人は少ないからです。経歴詐称して入社しても、実力がなければすぐバレてしまいます。
ですが、仕事に支障をきたすようなウソをついていた場合には内定取り消しになることは十分にありえることです。入社してから経歴詐称がバレた場合、悪質ならば懲戒解雇される可能性も大きいでしょう。
ちなみに、最近ではSNSで情報漏えいした学生が内定を取り消されるという例も見られますが、内定取り消しになる理由としてもっとも多いのは「単位不足のため卒業することができなかった」というものです。採用調査で内定取り消しになるよりも、学生自身の問題で取り消されるほうが多いのです。
また、これ以外にも「内定が出されているのに他の企業に就職してしまい連絡がとれない」「書類を期限までに提出しなかった」という学生側の怠慢やミスから内定が取り消されることもあるそうです。
まとめ
採用調査に関しては、個人情報保護法が成立したことから今後減少していくのではないかという意見もあります。しかし、より有能な人物を採用して長く働いてもらいたい、そのためにも採用調査に注力しようと考える企業も増えています。
「採用した社員がトラブルを起こしてマスコミにも取り上げられた」など、失敗した経験がある企業は特に採用調査に力を入れる時代が来たのかもしれません。
場合によっては企業が採用調査を行うこともあります。ただし、企業も複数の人数の調査を同時に並行して行えるほど暇ではありませんし、なかなか情報が集まらず苦労することもあるそうです。
そんな時には、興信所がプロのスキルを使って調査を行います。
採用調査を興信所に依頼する時には、まずホームページを確認してみましょう。サイトの「実績」を見れば、採用調査も引き受けているかどうか調べられます。なかには浮気調査や不倫調査がほとんどで、採用調査についてはあまり経験がないという興信所もありますので、「近いから」「安いから」と安易な理由で依頼先を決めないようにしましょう。
調査内容と料金を比較し、会社の目的に一番沿ってくれそうな興信所を選ぶことで、モンスター社員の採用を避けることができるでしょう。